この話は子供の頃、ある宮司さんから聞いた話です。
遠い昔、この世界は一面水に覆われていたそうです。しかし、次第に水が干上がって、陸地が出てきました。更に地殻変動により陸地は次第に拡大し、長い年月を経て苔や植物が生えるようになりました。すると、水中に棲んでいた生物の中に、陸に上がるものが出てきました。ところが、そのころの陸地は頻繁に動いて、地震や噴火、津波を起こすため、折角陸に上がった生き物たちが全滅してしまうことも多かったそうです。
その様子を空から見ていた神様は、陸にあがった生物が安住出来るようにしたい、と考えて、二人の神様をこの世に遣わしました。
イザナギの命、イザナミの命です。お二柱の神様は、特に頻繁に大きな地殻変動を起こしていた四つの巨大な土地を抑えるための留め具として日本列島を誕生させました。
しかし、それでも四つの大地は時々変動し、その度に日本列島も揺れ動いて、人々はまだ安心して住むことが出来ませんでした。
そこに、非常に強い霊的能力を持っていらした天照大御神がお生まれになりました。天照大御神は、陸地を安定させて、人々が安心して生活できるように天に祈り、ある特殊な神事の作法を授かったそうです。
それが今日まで受け継がれ、現在も天皇陛下が毎朝執り行って下さっているご神事だそうです。それによって、四つの大地は前ほど動かなくなり、おかげで日本列島が大きく揺れ動くことも稀にしか起こらなくなったそうです。
しかし万一、天皇家の、神々への深い信仰心を伝えて来た血筋が絶えるようなことがありましたら、そして、ご神事を執り行うことが出来なくなるようなことがあれば、日本列島は留め具の役割を果たせなくなって、その形を失い、幾つかの小さな島に分かれるか、または一つの巨大な火山島になるだろう、と云われています。
一方、留めるものがなくなった四つの大地は互いに好き勝手に動きだして形を変えるので、そのために生じた巨大な津波が世界中を襲うだろう、ということでした。
この話は後世に残したくて、ここに記しました。
